主人公、「宇内健介(うだいけんすけ)」はどこにでもいる、いたって普通のサラリーマン。
容姿、運動神経などはお世辞に言っても中の上。
勤労意欲も並。
そんな彼だが唯一の自慢が。
それが、子供の頃から家が近所だった幼馴染、そして現在の最愛の彼女である「百瀬(ももせ)あゆむ」の存在だった。
この春、念願の大学に合格したあゆむと健介は共に暮らし始めたばかり。
今日も仕事を終えた健介は上機嫌で家への帰路を辿るのであった。
新妻のような出で立ちで出迎えるあゆむに、幸せを噛み締める健介。
二人の甘い生活はいつまでも続くかに思われていた。
しかしそんなある日……。
突然上司から呼び出された健介は支店への出向を命じられる。
「いや、急に欠員が出てしまってどうしても人手が足りないらしくてな……多分、半年ちょっとでこっちに戻してやれるとは思うんだが……」
降って湧いたような辞令に、酷く落ち込む健介。
それもそのはず。
あゆむとの夢の共同生活が音を立てて崩れていくのだから……。
「健ちゃん、半年くらい大丈夫だよ! 私達、離れてたって心は一つでしょ?」
笑顔で見送るあゆむに涙で別れを告げ、健介は一人、泣く泣く赴任地へ赴くのだった。