森に囲まれたエルフ達が住む国「アグラリエル王国」現女王エフィルディスを含め、代々女性のハイエルフによって統治されている国家。
その傑出した力による施政は周辺への影響も大きく、世界の中心地の一つと言っても過言ではない。
そんなエルフ達の繁栄の裏には、厳格に管理された種族繁殖の掟があった。
長命な種族として知られるエルフは、誰彼構わず自由に子孫を残せる訳ではない。
彼女たちは、身体が成熟して子供を授かることが出来る時期に『生命の祠』と呼ばれる場所に赴くことになる。
そして、この時にハイエルフ管理の元で儀式が行われ、神が降りる間に新たな生命を授かるのだ。
その儀式は神聖なものとして、一部のハイエルフしか、その実態を知るものはいない。
他の種族が行う繁殖の為の『交尾』は獣たちがするものであり、エルフが行うことではない。
みだりに身体を触れ合うことはもちろん、快楽を求めることは非常に汚らわしい、禁忌のものとされている。
それ故に、多くのエルフ達は己の持つ本来の性分に気づいてはいなかった……。