玉座の間は、その静謐な調度と裏腹に、爛れきった空気に包まれていた。
巨大な扉から続く絨毯の通路には、王宮に仕える女たちがあられもない格好で股間から精液を垂れ流し横たわっている。
揃いも揃って悩ましい吐息を漏らし、つい先程まで狂宴があったことを知らせていた。
そして、その奥にどっしりと備わる玉座には、ノーブルなドレスに身を包んだ女が二人。
サフィーナ「ちゅぱ……れろ、ん、あむ……はむ、ぴちゃ……んちゅ……」
タマンナ「くぽっ、れろ、えろっ……あ、んむ……んりゅ……んむ、ちゅぷ……」
まだ若く、どこかあどけなさを表情に残すのは、クルシュ王国の第二王女、サフィーナ・ターニ・クルシュ。
その隣、女の若い盛りは過ぎつつも、芳醇な艶やかさをこれでもかと漂わせるのは、クルシュ王国の第二王妃、タマンナ・クルシュ。
そんなやんごとなき身分の親子二人が、王には見えない男の下に跪き、従順な下僕の如く振る舞っていた。
ファラーシャ「やめなさいっ、二人とも神聖な玉座の間で何をしているのですっ!」
「……姫騎士、ファラーシャか……」
男に剣をむけたのは、クルシュ王国の第一王女、ファラーシャ・アワル・クルシュ。
背中の半分まで覆うブロンドの髪をなびかせ、口元をきりりと引き締めた端正な顔立ちは率直に美人と言っていい。
ファラーシャ「我がクルシュ王家の神聖なる玉座の間……父の玉座からすぐに離れなさいっ!」
狼藉を罰するにはもはや切り捨てるのみ、剣を向けたファラーシャに、男はそっと自分の喉を押さえながら言葉を発する。
『控えよ、王に対して無礼な口を聴くな』
ファラーシャ「……っ……!」
短い命令が紡がれた瞬間、ハッとファラーシャの体から力が抜けた。
と同時に、構えていた剣から殺気も消えて、その瞳に宿っていた炎のような意志も曇っていく。
ファラーシャ「……………………」
虚ろな視線……それは、サフィーナとタマンナが見せた、自らの意志を見失った操り人形のような意志の濁ったそれだった。