「おはようございます」
朝。
俺を起こしてくれたのは、母親でもなく、妹でもなく、幼馴染みでもなく、天使でもなく異世界からの使いでもない――
影女だった。
――影女?
話を聞くと、独り身の男の家に現れ、押しかけ女房よろしく世話を焼いてくれる妖怪らしい。
……いや、余計なお世話なんだが。
そう――俺は、妖怪にはうんざりしていた。
なまじ見えるばっかりに、あんなひどいことになったのだから……。
しかも、それで話は終わらなかった。
そんな俺の混乱が冷めやらぬうちに、疫病神まで現れやがった。
……よりにもよって、疫病神かよ。
俺は、ふつうの生活がしたいだけなのに……。
どうやら俺は、こいつらから逃れられない運命にあるらしい。
――やれやれ。