時は近未来。
サイバネティクス技術と超巨大電脳複合体『ユグドラシル』による仮想空間での高速情報処理が可能になった世界。
主人公の名は『道束 シロウ(みちつか しろう)』。
かつては総務省情報特務局第十三課に在籍していた優秀な情報局員だったが、広域重要指定072号事件の被疑者を確保する際に同僚であり恋人でもあった『如月 亜騎子(きさらぎ あきこ)』の裏切りにより、被疑者を逃してしまう。
さらに如月と内通して被疑者に手を貸したとの濡れ衣を着せられ、服務規程違反の制裁として電脳複合体『ユグドラシル』への接続デバイスを破壊する手術を受けた際に視床下部など脳神経にダメージを負い盲目になったうえ、特務局を追放される。
その後は『電脳都市キサラヅ(ニュー・キサラヅシティ)』で違法改造手術により多数のセンサーを備えた特殊な義眼によって視覚を取り戻したが、度重なる手術によって脳にダメージを負ったせいで異常な性欲を持つようになってしまい、快楽系の電脳ドラッグ浸りになってしまう。
そして、そのドラッグ代を捻出するため違法の賞金稼ぎ(バウンティ・ハンター)として汚れ仕事に手を染め暮らしている。
そんなある日シロウの元に、元上司である『情報特務捜査局局長・香我美=E=アナスタシア(かがみ E あなすたしあ)』が現れ、彼女はシロウを謎の女『竜宮 ねね(りゅうぐう ねね)』に引き合わせる。
そして香我美はシロウに、かつてシロウが失った『ユグドラシル』へのダイブ能力の修復を代償に、電脳世界(スピリチュアル)で最も危険なテロリストだと指名手配されている『ネクロマンサー(死人使い)』と活動を共にしている『電脳魔女(サイバーウィッチ)・キサラギ』の確保を依頼するのだった。
「”魔女”から”死人使い”に転職か……アイツらしくないな……」
彼女はネクロマンサーに電脳汚染されただけではないのか?
昔愛した女は本当にテロリストになってしまったのか?
ねねの手により、特殊な接続デバイスを得て再びユグドラシルへのダイブが可能になったシロウは、様々な思惑を胸に陰謀とテクノロジーと暴力の支配する電脳世界へと再び舞い戻る。