主人公である『智也』の実家は地元では名の知れた神社で、両親は神主をしていました。
長男が家を継ぐという古いしきたりに、智也は幼い頃から厳しい躾をさせられてきました。
両親が不慮の事故で他界すると、祖父の躾はさらに厳しくなり、智也は中学卒業と同時に、逃げるように家を飛び出しました。
月日は流れ……七度目の夏が訪れたある日、一通の手紙が実家から届きました。
封を切るとそこには、叔父の名前で祖父が亡くなったことが記されていました。
そして、もう一度戻ってきて欲しいと言うことが、記されていました。
一生戻るつもりもなかった智也でしたが、心の中にある何か熱いものに気づき、もう一度だけ戻ってみようと思いました。
七年ぶりの実家に向かい、バスに揺られながら目を閉じると幼い日のことを思い出します。
両親に拾われ兄妹同然で育った『萌』のことを……。
そして、自分の犯した過ちを…。
智也は昔のことを思い出しながら、七年ぶりに実家である神社の鳥居をくぐりました。
友を捨て萌を捨てた智也の鼓動は、否応なしに高まります。
智也は、ここに帰ってくるべきではなかったかもしれない…と思いました。
しかし、昔の仲間達は、あの頃変わらずで何事もなかったかのように智也に接してくれました。
叔父の再会を果たし部屋に戻ると、一通の手紙が置いてありました。
智也が封を切るとそこには、もう一度会いたい…と書かれていました。
智也が約束の場所に行くと、萌が現れ想いを伝えます。
智也は萌の言葉に家を出たもう一つの理由を思い出し、自分自身を悔います。
智也は自分自身と向き合い、素直になろうとします。
そして、智也は7年前に言い出せなかった想いを伝え、萌と結ばれます。
次の日叔父に、跡継ぎのことについて相談されます。
智也は夏休みを利用して、その答えを出そうとします。
そして、短くも長い夏の日の物語が始まりました。